大人もできるニキビ

ニキビは思春期のシンボルではありません

10代に見られる「思春期ニキビ」は、皮脂の過剰分泌が原因要素です。毛孔がまだ小さく、皮脂が目詰まりしやすいため、詰まった皮脂を栄養源とするニキビ菌が過剰繁殖することでニキビが発症しやすくなります。
対して、「大人ニキビ」は、ストレス過多や睡眠不足、生理や体調の乱れ、偏食による新陳代謝の遅れ、ファンデーションなどで皮膚の古くなった角質が剥がれずに角栓となって毛孔をふさいでしまうことが起因となります。

「大人ニキビ」を軽く見ないことが大切

「大人ニキビ」は、発症するとなかなか治りにくいうえに、一時的に治っても再発しやすいものです。たかがニキビくらいと軽く考えていると、ニキビの炎症が治った後に皮膚が色素沈着してしまったり、瘢痕という皮膚陥没の状態となって、まるで月面クレーターのようにもなりかねません。
瘢痕など、成人後に見られるニキビの後遺障害は、若い頃の「思春期ニキビ」に対してのケア不足や未治療が原因だと思われている方が多いかもしれませんが、実は成人以降の「大人ニキビ」であっても同じ結果になります。むしろ、肌の新陳代謝が進みにくい大人の方がより危険度が高いと考えられます。
一旦、肌がこうした状態になってしまうと、生まれ持っての美肌も取り返しのつかない残念な状態となってしまい、それを元どおりの肌に取り戻すのは容易なことではありません。

治りにくい「大人ニキビ」


若い世代にあっては、角層の交代が早く進むため、ニキビによる色素沈着や瘢痕は残りにくいうえに、たとえ過剰分泌された皮脂によって毛孔が詰まり掛かっていても、角層交代によってすぐに解消されます。
対して年齢の増した大人世代の皮膚は、若い世代とはまったく逆の状態にあります。大人の皮膚の再生能力は、年齢が増すほどに低下していきます。つまり、皮膚の新陳代謝機能(ターンオーバー)が遅くなるため、厚みを増した角質層が取り残されて発症したニキビは治りにくく、治った後に後遺症が残りやすくなります。

なぜできるの「大人ニキビ」


ニキビが治りにくい体質になることとは別に、発症原因も大人ならではの理由があります。その多くは、ホルモンバランスの崩れにつながる生活習慣によるものと言えます。
以下は、その主だった理由です。

     
  • ストレス過多
  • 仕事でのトラブルや人間関係など、大人社会ならではのストレスが多くあるため、ストレス過多になりやすい。  
  • 睡眠不足
  • 夜勤や残業、交遊関係での夜更かしなど、様々な理由から十分な睡眠がとれていない。  
  • 偏った食事
  • 食事時間が定まらない。十分な時間を掛けずに食事をする。栄養バランスのとれた食事をしていない。いつも同じものばかりを喫食している。  
  • 飲酒・喫煙量が多い
  • 飲酒機会が多く、一回の酒量も多い。タバコも吸う。  
  • 紫外線を多く浴びる
  • 夏季など紫外線の強い季節でもUV対策をせずに外出する。仕事や遊びで外にいる時間が多い。紫外線による影響が出るのは、肌が乾燥する冬季になってからが多い。  
  • 不適切なクレンジング・洗顔
  • クレンジングが面倒なので適当に行っている。洗顔は構わずゴシゴシ洗っている。春夏秋冬、いつも同じように処理している。  
  • 生理周期
  • 生理前の約2週間くらい、排卵期の間にニキビができやすくなる。  
  • その他全般としての生活習慣の乱れ
  • 上記以外にも、様々な悩み事や困り事が多くあって、生活習慣が乱れやすい。
ストレスや生活環境の乱れ

「大人ニキビ」を予防するためには

「大人ニキビ」は、対象となる世代の新陳代謝が進まないため、「思春期ニキビ」のように発症してからの対処療法ですぐに治るというわけにはいきません。「大人ニキビ」の治癒には時間が掛かるため、まず、ニキビの予防、つまりニキビのできにくい体質への改善や生活環境を整えることが大切になってきます。
「大人ニキビ」の発症を未然に防ぐ体質改善には、ニキビ菌が増殖しやすくなる皮脂が過剰に分泌しない食生活やストレスの解消など心身の健康管理が基本となります。そして、ニキビ菌が増殖する原因となる皮脂の溜まりやすい毛孔を改善するため、季節や気象の変化に応じた肌の手入れを怠らないことです。

ニキビになりにくい体質への改善

体質改善への取り組み


ストレス解消を図る

ストレスは、自己の内面的なものであるとはいえ、それを引き起こす対人関係などの外的要因が必ずあります。そのため、自己完結で解消するのは困難と言えます。しかし、だからといって対人関係を閉ざしたり、敵対意識を持つことは逆にストレスを高めてしまうことになりかねません。
ストレス解消には色々な方法がありますが、身体を適度に動かすストレッチやウォーキングなど、比較的簡単に誰でも気軽に取り組めことから行うと継続することができます。また、入浴や睡眠なども、従来より少し時間を多めにするだけでかなりの効果が得られます。

適切な睡眠をとる

適切な眠り(深い睡眠)は、ストレスによって分泌されるコルチゾール(副腎皮質ホルモンの一種ですが脳の海馬に悪影響を及ぼすホルモン)を抑制し、ストレスによる弊害の解消に役立ちますが、睡眠の効果はそれだけではありません。睡眠の中で最も深い眠りといわれている徐波睡眠(眠り始めから3時間のうちの最初の90分間程度の睡眠)の間に分泌されるメラトニンは、壊れた肌細胞の修復や疲労の回復などの役割を果たします。若い人たちにとっては欠かせない身体の成長にも役割を果たしています。また、体内脂肪の燃焼を促進しますので、皮脂だけでなくメタボリックシンドローム対策としても有効な働きをします。
このようなありがたいメラトニンですが、メラトニンは昼間は分泌されなく、夜間のみ分泌されます。しかも、明るい寝室では分泌量が制限されてしまうため、できるだけ暗い寝室にすることが良いとされています。また、寝室を暗くすることによって、落ち着いて安らかに眠る環境ができます。なかなか寝付けないという方にもライトダウンは良好な睡眠環境づくりとなります。

バランスのとれた食事を規則正しく摂る

古くからの言葉に「医食同源」というのがありますが、まさに食は、人の健康と深く関わり、バランスのとれた食を生活スタイルに合わせて規則正しく食事することは、病から身を守り健康を維持するうえで不可欠なものです。
皮膚の新陳代謝(肌のターンオーバー)を促進する代表的な栄養素に「タンパク質」があげられます。タンパク質は人をはじめとしてあらゆる生き物の身体を構成する基本的な有機物質です。
食事を通してタンパク質を摂取することは、老廃化した細胞組織をタンパク質によって新たに形成される細胞組織に交代させます。つまり、タンパク質が十分に摂取されないと、肌は老化するだけということになります。
タンパク質を含む食材には、動物性タンバク質の肉、魚、卵、牛乳、チーズなどがあります。一方、植物性タンパク質には大豆とその加工製品、納豆、豆腐などがあります。
タンパク質と同様に、ニキビになりにくい身体をつくる上で必要な栄養素にビタミン類があります。そのなかでも特にビタミンB群、ビタミンC、ビタミンAは、皮膚の再生を促進し、常に瑞々しい肌を保つのに必要な栄養素であると言えます。
ビタミンを多く含む食材は、人参、カボチャ、きのこ、海藻類、豚肉、鰻などが挙げられます。
詳しくは「ニキビ対策に効果のある食材」をご覧ください。

日頃の注意から「大人ニキビ」の予防


紫外線から皮膚を守る

現在では、紫外線が有害であることを知らない人は殆どいませんが、その割には特に紫外線対策はしていないという人が多いのも奇妙です。それは、紫外線による危害がどの程度のものか目に見えて分かりづらいという点があるからかも知れません。
しかし、紫外線を浴びたその時点で、きわめて短時間の間に確実に皮膚組織は影響を受けています。その後、徐々に起きる皮膚の変化は、容易には止められない老化プログラムとして進行していきます。そのひとつには角質が厚みを増して一部が角栓となり毛孔を塞ぎます。また、紫外線は皮膚に活性酸素を生成させ、それが皮脂を酸化させてニキビ菌を集めて増やしてしまうため、ニキビの発症はいっそう高まります。
紫外線から皮膚を守る方法は、UVカットクリームなどを使用すること、帽子や日傘などで陽射しをカットすること、また、サングラスなども眼から入る紫外線を防ぐうえで必要なアイテムとなります。
詳しくは「 Summer Nikibi care/夏のニキビケア」の「紫外線」についてのペーシをご覧ください。

お化粧は毎日するものだから「大人ニキビ」対策も
適切なクレンジンク・洗顔で肌を守る

「大人ニキビ」での特徴的な発症原因の一つとしてあげられるのが、不適切なクレンジングや洗顔、そして保湿があります。
ある年齢に達した女性は、殆どの人が毎日お化粧をします。女性が美しく、常に社交的であるためには、お化粧は欠かせませんが、お化粧は開いている毛孔を塞ぐ原因ともなります。帰宅後や就寝前に行うクレンジングや洗顔は、単に肌の表面の化粧や汚れを落とすだけでなく、毛孔が詰まる原因となる物質を取り除き、溜まった皮脂の排出をしやすくするという点も考慮しなければなりません。
洗顔は、「顔の汚れを洗い落とす」というイメージを持たれている方もいますが、付着した汚れを落とすように強くゴシゴシと洗うのは間違っています。手のひらなどで強く接触して、毛孔の奥に角栓や汚れを押し込んでしまったり、保湿に必要な脂肪分まで奪ったり、さらには傷付けてしまうといった結果になりかねません。
ポイントは、クレンジング剤、洗剤の泡が持つ洗浄力を活かしてソフトタッチで行います。ぬるま湯は、泡によって浮いた汚れと泡を軽く流し落とすための「すすぎ」のようなものと理解してください。
クレンジングや洗顔は、季節や気候によって汚れの付着など肌が受ける影響も異なってきます。そのため、そうした状況に応じたクレンジングや洗顔方法を選ぶ必要があります。

保湿で肌を守る 保湿で肌を守る

洗顔後の保湿も、季節や気候、そして肌質に合わせた保湿対策が必要です。大人は何かと忙しいので保湿なんて面倒くさい、といって手を抜くようなことは決してしないでください。毎日のこととはいえ、就寝前のわずかな時間です。それを無視してしまうと、一生の悔いをお顔に残してしまうことにもなりかねません。
詳しくは「Skin care」ニキビ対策は肌のお手入れからのページをご覧ください。

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